閑話休題

今日はおすすめの本を紹介したいと思います。


 学問のすすめ

 いちまんえんさつの人である福沢諭吉が書いた本です。
 「天は人の上に人を造らずと言えり」という文はあまりにも有名ですね。
 なんだか平和とか平等を書いたもののように思えますが、この後には「人間に貴賤はないかもだけど頭いい奴もバカもいるし、金持ちも貧乏人もいるよ」と続きます。そして、このままじゃ日本は死ぬからお前ら勉強しろ、と説かれています。
 明治維新の動乱の中にあり、押し寄せる列強各国の脅威と日本国民の国防意識の低さを鑑み、警鐘を鳴らし人心を啓蒙した本です。
 国家という共同体にあって、国民一人ひとりがどのような意識を持つべきか、わかりやすく力強く書かれています。


 民間防衛

 スイス政府が全世帯に配っているという「民間における国防」を説いた本です。実際に侵略されたと想定し、何を備蓄するべきか戦火が迫ったらどう避難するか原爆が落ちたらどう対処するか、果ては負けたらどう抵抗活動を行うか、まで詳細に書いてあります。スゴいです。
 ですがこの本の真価は冒頭数ページにあります。理想と現実を政府がきっちり示してくれることが私は羨ましい。
 少々引用します。

 わが民主主義の真価は、絶えず必要な改革を促すことである。
 どのような制度も、生きものと同じように、それ自体の生命力によって変化することからのがれるわけにはいかない。すべては進化する。思想も、風俗や経済情勢と同様に進化する。だから、国民や、国民を代表する議員が、常に注意深く制度を見守ることは、どうしても必要である。

 民主主義は、何も生み出さないでじっとしていることと、破壊的に転覆することの間に通じる、狭い、山の背のような道を用心深くたどらねばならない。
 各人の義務は、この法則に従って生き生きと生きることである。公の問題に無関心であることは、この義務に忠実でないことを意味する。すべての破壊を欲することは反逆である。
 法は、われわれすべてを拘束するが、われわれを守るものでもである。われわれも法の制定に参加せねばならない。もし、制度の改善のために何もせず、共同体の管理に参加しないならば、自分たちの制度について不平を言う資格はない。

 もしも国民が、自分の国は守るに値しないという気持ちを持っているならば、国民に対して祖国防衛の決意を要求したところで、とても無理なことは明らかである。
 国防はまず精神の問題である。
 自由と独立を守るためでなければ、どうして戦う必要があろうか。自由と独立こそは、公正と社会的正義がみなぎり、秩序保たれ、そして、人間関係が相互に尊敬によって彩られている社会において、りっぱな生活を保証するものである。